魔法使いですが、何か?
友達に強引に手をひかれ
問題の井戸に辿り着いた
(途中、僕は駄々をこねたが失敗に終わってしまった)
それは所々にこけが生えていて
水を汲む為の木のバケツ(?)
も腐り果てていた
柳の木の下で独特の存在感は
僕に恐怖を覚えさせるには
十分過ぎるものだった

しかし僕の隣にいるこの企画の
発案者は目を輝かせていた

…いや、おかしいだろ
怖がる所じゃねぇの?ここ

僕がそんな事を思った時
突然強い風が吹いた
柳の葉を不気味に鳴らす


ふ、と井戸に目を向けた時
戦慄が僕を襲った



井戸の中から白い何かが


見えた



それは
しなやかな女性の左手


頭にあの怪談が流れる


「っで、出たァァァァァ!!」

友達の一人が叫んで
金縛りが解けたかのように

友達は、全員が逃げ出した

計四名の友達は全員


お分かりだろう


置いて行きやがった
あの野郎どもぉぉぉ!!!

僕が逃れなかった訳

恐怖の余りに腰が抜けてしまったのだ
ダサくなんてない
断じてダサくなんてない!

残された僕は
行ってしまった友達の
後ろ姿を追うように
振り返ったが影も形もなかった

僕を待つのは白い手
尋常でない汗がどっと溢れた
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