魔法使いですが、何か?
僕の隣のミッシェは
一切顔色を変えていない

挑発したからには
何か対策があるのだろうが

人(しかも先輩)を泣かせて
顔色一つ変えないなんて…

僕には、分からなかった

「ミィちゃんなんて…
ミィちゃんなんてぇっ!!」

ティルがそう言うと
泡の塊が突然現れ
ミッシェに向かって勢いよく
放たれた

ゾクッと僕は戦慄に襲われた

ミッシェは僕の隣にいるにも
かかわらず、彼女の名前を
叫んでしまった

「っ!ミシェリーゼっ!!」

しかし、その時には
泡が彼女に当たって
その衝撃で
アクション漫画の如く
大量の煙が僕の視界を遮った

まだ目が開けられない
僕はある重大な事実に
気付いてしまった

「…家が崩壊しちまう
じゃねぇかぁぁぁーーっ!」

何勝手に魔法使わせてんだ
あの女ぁぁぁーー!!!

被害被るの僕じゃないか!

「その心配はいらないわよ
ちゃんとバリア張って
置いたから、ね」

と凛とした声が
僕を振り向かせた

泡に襲われたミッシェが
無傷で堂々と立っていた

その姿にティルも僕も
ポカンと間抜けな顔で
妙にイラつくやりったという
清々しい顔をみていること
しかできなかった
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