【短】知りたい。もう少し。
もう1度、クイッと凌が紙を引っ張ったのを合図に、私は手を離した。
凌は何も言わない。
私も何も言わず俯いたまま。
でも、凌が私の頭を見下ろしてるのを感じた。
「3組だっけ?」
「え……?」
彼の言葉に顔を上げて聞き返す。
「これ、くれた子」
千夏……?
「あ……う……ん」
彼は小さく頷いてから、私の手をつかみ、歩き出した。
「凌?……どこ……行くの?」
「……」
答えてくれない彼。
そして、1ー3で足を止める彼。
教室を覗けば、まだ友達と話し込んでいた千夏がいて。
私達に気づいて、嬉しそうに近づいてきた。