隣のヤクザさん

視線を再びフロントガラスの向こうに向ける。

…あの女子高生が、いつの間にかどこからか現れた、ランドセルを背負った男の子と抱き合っていた。

呆然とそれを見つめる俺と、可笑しそうに笑った和泉さんの視線が交わる。

間を置いて、二人で笑った。

そういえば和泉さんとこうして笑い合うのは、久し振りだ。


女子高生たちまであと5メートル程の距離で、和泉さんがクラクションを鳴らす。
慌てたようすで、ひしっと抱き合っていた二人は道路から歩道へと走って行った。

その前を通り過ぎる一瞬。
女子高生の、赤く染まった頬が見えて

俺は思わず、くすりと笑ってしまった。



…初日から、面白いものを見れた。





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