恋愛両立


何も言えなくて、首を横に振ってみた。


キスして、なんて言えないよ・・・


見つめてたらキスしてくれるかなって、私の気持ちに気づいてくれないかなって思ってたずるい私。


敦くんはいつもストレートに気持ちを言葉にしてくれるのに、なんで私は言えないんだろう。。



「なに?どうしたの?」



困ったまま、優しい声で聞いてくれる敦くん。



恥ずかしすぎるよ、キスしてなんて言えない。


また首を横に振って、唇をかみ締める。


ダメだ、余計に困らせるだけ。


なんてわかってるのに言えない・・・




優しく頭を撫でてくれる敦くん。


抱きついていいかな?


言葉にしなくても、行動にしたら気づいてくれるかな?


甘えたいだけなんだよ?


そんな気持ちにに気づいて欲しい。



でも、行動に移さなきゃ、言葉に出さなきゃ気持ちなんて伝わらない。



そんな事、わかってる。もう子供じゃないんだし。



でも、「子供じゃない」ってことが大きな壁になって、行動できない、言葉に出来ない私が居る。


大人の恋愛ってどうするんだろう。



学生みたいに恋愛だけ考えてちゃいけない。



仕事のことも、人間関係も、将来のことも、いっぱい考えないといけない。


それが大人。



でも、今は敦くんの事が頭ん中いっぱいで。



いっぱい頭の中で考えてると、敦くんが私の手を取った。



「早紀ちゃん・・」



敦くんが何かを言いかけたとき・・・



二人の携帯の音が同時に鳴った。



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