風にのせて君へ


教室中に響く奏先輩の声。



「……帰ったのか」



二言目には、そう呟く声が聞こえて

足音がだんだんと遠ざかっていく。



……せ、セーフ。



私は教卓の下で安堵のため息をつく。



何で今更追いかけてくるの?


もう、
奏先輩がわからない。




* * *




次の日の授業は
ずっと放心状態だった。



「じゃあ56ページを……星野さん。読んでください」



ドラ○もん先生の声も耳に入らない。



「星野さん。星野さーん」



奏先輩のバカ。


何も思ってないなら
追いかけてこないでよ。


< 62 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop