風にのせて君へ
教室中に響く奏先輩の声。
「……帰ったのか」
二言目には、そう呟く声が聞こえて
足音がだんだんと遠ざかっていく。
……せ、セーフ。
私は教卓の下で安堵のため息をつく。
何で今更追いかけてくるの?
もう、
奏先輩がわからない。
* * *
次の日の授業は
ずっと放心状態だった。
「じゃあ56ページを……星野さん。読んでください」
ドラ○もん先生の声も耳に入らない。
「星野さん。星野さーん」
奏先輩のバカ。
何も思ってないなら
追いかけてこないでよ。