旦那様は社長
もうあたしに逃げ道はない。
「実は兄が今、うちに押しかけてきてて」
「……一人っ子だよね」
チーーン。
今喋ると、何でも裏目に出てしまう。
「そんなにオレがイヤ?何もしないって言っても」
声のトーンが明らかにいつもの数十倍低い。
遠山さんのプライドを守るどころか、あたしはそれを粉々に壊してしまったんだ。
怖くて横を向けない。
「ごめんなさい」
これ以上墓穴を掘らないように、余計なことはもう喋らずにおこう。