旦那様は社長

いつも冷静沈着な社長に怒鳴られ、会長が少しシュンとなる。


「会長、私は一ノ宮の令嬢と結婚するつもりはありませんが、彼女と結婚するつもりもありません」


「……?」


チラリと一瞬私を見た社長は、信じられない言葉を口にし始めた。


「よく考えてみて下さい。今この会社は、私の若さと容姿、加えて独身ということでも注目を浴びているんです」


「……へ」


ナルシストともとれるその発言。

あまりのギャップに、思わず心の声が漏れた。


あたしが知る限りの社長はいつも品行旺盛で、そしていつも自分に厳しい。


今のは、本当に社長の言葉……?


「私がもし今結婚して、しかも相手は普通の一般人。会社の株は急落してしまうかもしれません」


「んなッ!?」


今まで見たこともない、人を見下した「フンッ」という顔であたしを見る社長。


何この人!!

なんかすっごく失礼(あたしに)なんですけど!!


社長って、こんなナルシストだったわけ!?

ムキーーーーッ!!

“一般人”で悪かったわね!!


言葉にできない心の叫び。

この怒りをぶつけることができればどんなにいいか。


だけど立場をはばかって、ハンカチを噛みたい思いを必死に我慢した。


それでも身体の震えは収まらず。


社長の暴言の数々に、あたしの怒りは益々ヒートアップしていく一方だった。


< 31 / 334 >

この作品をシェア

pagetop