旦那様は社長
いつも冷静沈着な社長に怒鳴られ、会長が少しシュンとなる。
「会長、私は一ノ宮の令嬢と結婚するつもりはありませんが、彼女と結婚するつもりもありません」
「……?」
チラリと一瞬私を見た社長は、信じられない言葉を口にし始めた。
「よく考えてみて下さい。今この会社は、私の若さと容姿、加えて独身ということでも注目を浴びているんです」
「……へ」
ナルシストともとれるその発言。
あまりのギャップに、思わず心の声が漏れた。
あたしが知る限りの社長はいつも品行旺盛で、そしていつも自分に厳しい。
今のは、本当に社長の言葉……?
「私がもし今結婚して、しかも相手は普通の一般人。会社の株は急落してしまうかもしれません」
「んなッ!?」
今まで見たこともない、人を見下した「フンッ」という顔であたしを見る社長。
何この人!!
なんかすっごく失礼(あたしに)なんですけど!!
社長って、こんなナルシストだったわけ!?
ムキーーーーッ!!
“一般人”で悪かったわね!!
言葉にできない心の叫び。
この怒りをぶつけることができればどんなにいいか。
だけど立場をはばかって、ハンカチを噛みたい思いを必死に我慢した。
それでも身体の震えは収まらず。
社長の暴言の数々に、あたしの怒りは益々ヒートアップしていく一方だった。