*王子さまの甘い誘惑*
「誰?」
「あ…」
隣から、
声が聞こえた。
魅力的な声。
視線を向けると、
黒い瞳とぶつかる。
トクンッ
びっくりして
心臓が少し
跳ねた気がした。
彼は
上半身を起こして、
いきなり
あたしの顔を
覗き込む。
「こんなとこで
何してんの」
彼が言う。
そんなの、
こっちのセリフだよ。
「あたし、
転校生です。
一週間前に
来たばかりだから
」
「転校生?」
彼は何かを
思い出した様子で。
「あー。
天宮、結衣?」
「…はい」
なんだ。
この人も
知ってるんだ。
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