泡夏

蝉時雨

side美月

長いキスをした後、私達は石造りの階段にすわり、次々とあがる花火を見た。


赤、青、そして金色の花火が上がり、きらめきながら粉となって散っていくのを夢中になって私は眺めた。

この高揚感は子供の頃に始めて花火が打ち上げられたのを見たときのトキメキと似ている。


私はさりげなく、横にいる彼の横顔を見た。


彼が私の殻を割ってくれた。

自分の力で割れなくて、力尽きようとしていた雛を救ってくれた。


私は夜空を見上げた。

世界はこんなにも綺麗だったのに、汚いものと同じぐらい綺麗なものがあることを忘れていた。

まだ将来とか、そんなのまだ全然見えないままだけど、でも少なくとも彼がいる。

それだけで、なんとなくホッとする。


私は目をつぶる。



未来のために歩きださなくちゃ。


私はそう決意した。



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