†Orion†〜Nao's Story〜
望んでもいなかった状況が耐え難くて、あたしはしがみつくようにして森谷のシャツを握りしめていた。
「……奈緒?」
あ……気づかれた。
……当然といえば当然か。
あたしは観念したかのように、掴んでいた森谷のシャツから手を放し、前に一歩、歩み出る。
「ここじゃちょっと話しづらいんで」
言って、森谷は、教室のすぐ脇にある非常階段に続くドアを開ける。
外に続いている非常階段は、昼休みということもあって、何人かの生徒が屯していた。
黙々と階段を下りる森谷の後を追うあたしは、後ろにいる先輩を振り返ることができなかった。
……こんな状況、かえって逆効果だ。
もう、先輩との関係が終わりになることぐらい目に見えている。