†Orion†〜Nao's Story〜


望んでもいなかった状況が耐え難くて、あたしはしがみつくようにして森谷のシャツを握りしめていた。



「……奈緒?」



あ……気づかれた。

……当然といえば当然か。


あたしは観念したかのように、掴んでいた森谷のシャツから手を放し、前に一歩、歩み出る。




「ここじゃちょっと話しづらいんで」



言って、森谷は、教室のすぐ脇にある非常階段に続くドアを開ける。

外に続いている非常階段は、昼休みということもあって、何人かの生徒が屯していた。


黙々と階段を下りる森谷の後を追うあたしは、後ろにいる先輩を振り返ることができなかった。



……こんな状況、かえって逆効果だ。

もう、先輩との関係が終わりになることぐらい目に見えている。



< 140 / 220 >

この作品をシェア

pagetop