†Orion†〜Nao's Story〜
そういえば、朝、お父さんが言ってたっけ。
今日のデザートはグレープフルーツのゼリー。
凍ったまま入れているから、昼には食べごろになってるって。
お父さんの言葉を思い出して、真っ先にゼリーをひとくち口に運ぶ。
自然に解凍されたゼリーは、お父さんが言ったとおり冷たくて美味しかった。
「……で、どうするの? 先輩のこと」
「………」
無言のまま、あたしは周囲を用心深く見渡す。
森谷は……いない。
「……するわけないでしょ!」
森谷が教室にいないことを確認したあたしは、思い切り顔をしかめて亜里沙に言い放った。