†Orion†〜Nao's Story〜
あたしが先輩と付き合えるようになったのは、森谷のおかげって言えば、確かにそう。
あいつが強引に告白できる状況を作ってくれなかったら、今もあたしは先輩を見ているだけだった。
あたしの告白に対する森谷の思惑がどうであれ、感謝しなければならない。
だけど……
こうもムカつく態度とられると、「ありがとう」の言葉を言うのも嫌になる。
「……奈緒?」
「あっ」
あぁ、やだやだ。
こうやって先輩と一緒にいるのに。
あの天敵・森谷のことを一瞬でも考えているなんて。