†Orion†〜Nao's Story〜
「なに本気にしてんだよ。……んなワケないだろうがアホ」
………。
………。
イヤホンからシャカシャカという軽快な音楽が漏れてくる。
ノリのいいリズムではあるけれど、今のあたしにはとんでもなく不快な騒音だ。
誰も本気になんて……
いや、そうじゃなくて。
あたし、思いっきりバカにされてるじゃん。
コイツに土下座させるために、このあたしの方からわざわざ話しかけてやったのに。
こんな終わり方っていったい……
「あっ、奈緒おはよー」
「………」
「……奈緒?」
登校してきた亜里沙の声で我に返った瞬間。
あたしは怒りに任せて、森谷の頭を思い切り平手打ちしてやった。