†Orion†〜Nao's Story〜
4.噂レベル


お父さんが家に帰って来たのは夜十時。

あたしがちょうど、お風呂から出た頃だった。



「ただいまー」



スーツのネクタイを緩めながらリビングに顔を出したお父さん。

その時のあたしは、ピアスを開けるのに必要なモノをキッチンで調達していた。



「おかえり雅人。すぐご飯できるよ」


「あぁ、ありがと……」



お母さんに言いながらも、お父さんの視線はあたしに向けられている。



「奈緒、何やってんだ? ケガでもしたのか?」


「え? ううん。ちょっと」



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