月から堕ちたアリス
『…お腹一杯だし、あたしはもういい。』



さっきからずっと勧めてくるもんだから、あたしは本当に満腹だ。



紅茶とお菓子とケーキで満腹だなんて…


体重計に乗るのが恐すぎる。



「おや??否定しないということはやはりお嬢さんはアリスなのか。」

『何でそうなるの?!確かに“アリス”じゃないこともないけど…少なくともあんた達が思ってるアリスではないと思うよ。』



まぁあだ名がアリスだったからね。

そう呼ばれても違和感は全く無い。



「お兄!!やっぱりこの人があのアリスなんだよ!!」

「そうかそうか。薄々そうではないかと思っていたんだよ、アリス。」

『いや、だからあんた達が思ってるアリスって訳じゃ――…』

「それじゃあもう一度パーティーを仕切り直そうじゃないか。さぁ、カップを掲げて。」

「ほらアリスも!!」

『……………。』



いかれてる………

マジでいかれてるんだこの兄弟…。



あたしが溜め息をつきそうになった瞬間、





















「アリスの出戻り、おめでとう!!!!」

「おめでとー!!!!」





…出戻り??


一体何のこと……??



「久しぶりだな、アリス。」

「お帰りアリス!!」



さっきの乾杯とは一転、何故か昔の友人の帰郷を歓迎するかのような流れ。


マジでついていけないよ、このいかれ兄弟。
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