月から堕ちたアリス

日常、崩れる。

今日も学校。

支度を済ませたあたしは自分の部屋を出た。



階段を降りているとリビングからお母さんと兄の話し声が聞こえる。


「今日は会議があるから帰りは少し遅れます。」

「あら。勉強の方は大丈夫なの??」

「はい。ちゃんと勉強時間は取っていますので心配しないで下さい。次の試験も頑張ります。」

「まぁ、秀(ｼｭｳ)は本当にしっかりしてるわね!!生徒会と勉強両立するなんて!!体は無理してないでしょうね??」

「はい。僕の体のことは僕が一番分かっています。」

「それなら良いけれど…。秀に比べて優は全く何をしてるのかしら??昨日も変な時間に帰ったみたいだし――」





『…………………。』





また、秀とあたしを比べてる。





生徒会長で成績優秀でサッカー部のエースで完璧な兄、秀。


一方、特に秀でたものも無く成績は下の方で不良な妹のあたし。



そのため親も近所の人も友達も…周りはみんな秀とあたしを比べる。



あまりの出来の違いに、本当に兄妹なのかとか言う人がたまにいる。







けど―――



















リビングのドアの前を通り過ぎ一直線に玄関へ行く。



「ん…??ちょっと優っ?!待ちなさい!!優っ!!!!」



お母さんがリビングから出てきた瞬間にあたしも家を出た。






























――あたしだって好きでこんな風に生まれたんじゃない。
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