准教授 高野先生の恋人
彼から“着いたよ”の電話を貰うとすぐに、私はバッグとコートを持って部屋を出た。
彼の愛車と、車を降りて手を振る彼が、暗い路地に遠めに見える。
私は嬉しさいっぱい、彼のもとにいそいそと駆け寄った。
「そんな、走らなくても大丈夫なのに」
「だって・・・」
大好きな彼氏に誕生日をお祝いしてもらうなんて、生まれて初めてなんだもの。
それに、わざわざ降りて待ってるなんて、寛行さんこそ、誕生日仕様なんじゃない?
「詩織ちゃん、ドア、開けてみて」
「へ?」
彼の意図がわからなかった。だって、車に乗るからにはドアは必ず開けるのに?
何でわざわざ催促を?何で急かすようなこと言うの?
「いいから、早く」
「う、うん・・・」
言われるままに、私が助手席のドアを開けると???