准教授 高野先生の恋人
車のルームライトがつくと同時に、フサフサのモフモフの“先客”の姿が目に入る。
「わぁっ!ク、クマが出た!」
なんと、そこには大きなキャラメル色をしたテディベアが鎮座していたのだ。
しかも、しっかりとシートベルトを着用して。
「あの、このクマさん・・・???」
「うん。お誕生日おめでとう」
抱くというより、両手を背中にまわして抱えないと運べないほど大きなクマさん。
首には白いサテンの立派なリボンが結んである。
「ちゃんと包装してもらってたんだけど、こうしたほうが喜ぶかなと思ってさ」
「うん!あの、ありがとう。すごく・・・すごく嬉しいです!」
「それはよかった」
やや興奮気味の私の様子に、彼は満足そうに微笑んだ。
「とりあえず、クマ君を詩織ちゃんちに連れていっても大丈夫かな?」
「あっ、うん。すぐ行って戻ってくるね」
すれ違い困難なこの道は、あまり車を長くとめてはいられないから。