准教授 高野先生の恋人
秋ちゃんが札幌へ戻れば、またしばらくこんな風には会えなくなる。
それはとても淋しいけれど、秋ちゃんが元気になってくれたことは嬉しいし、
夏川さんと律くんとようやく親子三人の生活が始められるのは喜ばしいことだもの。
と、頭ではわかっていて、笑顔で送り出してあげたいのに……
「秋ちゃ~ん、淋しいよ~!」
「まあまあシオリン落ち着きなよ」
「だって……」
「夏休みを待たずに5月か6月には一度またこっちに帰ってくる予定だしさ。ね?」
「うん…」
あぁ、本来なら私のほうが秋ちゃんを励ます立場のはずなのに、まったく……。
「あっ、そうだ!」
「へ?」
何かを思い出した秋ちゃんが一瞬はっとした顔をして、そして意味深にニヤリと笑う。
「研究室に桜庭サンが戻ってくるじゃん」
「あぁ……ドクターで休学中の人だっけ」
「いぇーっす!」