准教授 高野先生の恋人

心から切々と訴える私に、お父さんはようやく少し表情を緩めた。

「いいよ、しーちゃん。わかったから」

「お父さん……!」

「わたしはね、困らせるつもりは決してなかったんだよ。

すまなかったね。しーちゃんも、それに、高野さんにも……申し訳ない。

ただね、はっきりと聞かせて欲しかったんだよ。気持ちというか心づもりを、ね。

高校生同士、或いは大学に入りたての学生同士の付き合いなんかであれば、

気長にのんびり見守ろうなんて、わたしだって暢気に構えられたのかもしれない。

だけど――

こう言ってはなんだが、高野さんの年齢であれば結婚は非常に切実な問題でしょうし。

で、このまま順調にいって実際にそういうことになれば、

当人同士のこととはいえ、多からず家同士の話というも出てくるからね。

だから、わたしたち親も親なりの心づもりをする必要があるのだろうな、と。

まあ、そうは言っても、何しろ我が家は一人娘で、まったく初めてのことで。

その……つい、いろいろと余計な心配ばかりをしてしまって。いやはや……」

< 291 / 324 >

この作品をシェア

pagetop