トリプレ
次女 瑞穂の非力
 学校祭の準備が着々と進んでいく。それもこれも恵那が手伝ってくれるおかげだ。
 あの事件以来、新たな噂が広まった。
「龍神瑞穂は男を従わせ、女王様気分だ」とか「相良紘貴を体で誘惑した」とか…。
 何気に悪化してない?事実無根ですから!
「よっ!女王様。」
 泉は調子こいてそう呼んだ。
「てめぇ…それはやめろって言ったべや!」
 廊下でつい大声を出してしまった。
「噂は所詮噂だからさ。気にすんなって。」
「前よりも確実にひどくなってる。」
「そうだな。しゃーねーよ。もういっそのこと真実にしてしまえ。」
「何をバカな事を。」
「相良を誘惑してしまえ。」
「はぁぁぁ?」
「顔赤いって。」
 そんなバカな!
「お前も相良か…。」
「違う!違う!紘貴じゃない。紘貴じゃない。」
 自分に一生懸命言い聞かせた。あれから紘貴の事が気になるような気がするのも気のせい。ついつい目で追ってしまうのも気のせい。二人でいると緊張するのも気のせい。もう全部気のせいなんだ!!
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