ギブス
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「久しぶり…っ」


…と、ドアを開けるなり…

耳に届いた…その声に…、未だに寝室のベッドの上にいた諒は、その声が聞こえた方に視線を向けた…

丁度、その容姿は…6年前、柚葉が初めて諒に逢った時の…

高校生だった諒の姿形に似通っていた…


「…奏…っ」


微か…に、動揺が伺えるよぅな声を上げた諒に…

吹き出した奏…


「…あっら
珍しく…動揺してるのね…っ
久しぶりに会った弟なのに…」


…と、屈託なく笑いながら言った奏とは違い…、瞬時に、奏を睨みつけた諒…

…が、すぐ様、奏から視線を反らした諒は、乱れた衣服を整えながら、ベッドから腰を上げた…


「何しに来た…っ」


そぅ、わざと冷ややかに言った諒…

…が、奏の態度は変わらない…


「さっきさ…、部屋の前ですれ違った女の子って…
昼間…電話に出た女の子…っ」


「…奏…っ
“何しに来た…”と、聞いているんだ…っ」


「…“血の刻印”…
あの子に、つけてたんだ…」


その…、奏の言葉に…

一瞬にして、表情が強張った諒…

諒の、その動揺ぶりに吹き出した奏は…


「彼女…、シルシをつけたのなら…、何で殺さないの…っ
何で、早く血を吸わないの…っ」


「……っ」
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