ギブス
『……』


その瞬間…に、一瞬…にして…涙の粒が…

頬を伝い落ちた…



一瞬…、にして…

思い出した…


微かに香る…香水と煙草の匂い…


一瞬…、にして…

時間が…、引き戻される…かのよぅな感覚がした…



その、瞬間…に、抱き締められたかのよぅな…そんな感覚がした…



『……っ』
【…やっぱり…、ダメ…っ

簡単に…、忘れられなぃよ…っ


どんなに…、時間が経っても…

記憶が…、曖昧になっても…

…忘れるコトなんて…、出来ない…っ



どんなに…、離れていても…

先生が…、あたしを嫌いになったとしても…

あたしは…、あの人の眼差しや…、あの人の着けていた香水の香りを嗅ぐ度に…


また…、好きになるの…


心の中で…、生き続けてるの…っ】
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