ギブス
第2章

‐ 嘘 ‐

季節は…

薄紅の…桜の花びらも、いつの間にか…散り……

葉桜に姿を換えた…




そして……


6月も…、半ばになりつつあった…

その日の昼下がり…

10階建てのマンションの一室…

開け放たれた窓から、心地よい風が吹いた…


その、20畳近くある部屋のほぼ中央に設えた…2人がけのテーブルに向かい合わせに座っている少女と…

その少女の目の前に座っていた男は、読んでいた小説から、顔を上げ…


「…神城…、やる気がなぃのなら…
家、帰るか…っ?
送ってってあげても…いぃけど…」


そぅ…、あからさまに…悪戯っぽく笑いかけた…

目の前の男に…、柚葉は微かにムッとしたょうに頬を膨らませた…


『…だって…、タマにしか会えない…のに…
デートするかと思っていたのに…っ』
【せっかく…

せっかく…、新しい服…着てきたのに…っ】


…と、微かに…目の前の男を睨みつけながら言った柚葉…
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