ギャップ的恋愛論
「えっ……?」
「いや、最近何だか元気無かったし……。
って、その理由は昨日教えて貰ったんだけど……。
ホント、こんな時にごめん。
悪いとは思ったけど、これは俺にとってチャンスなんじゃないかって。
呉林さんって、常に誰かと付き合ってる噂あるし、俺なんかタイプじゃないのもわかってる。
でも、友達でいいから、始めてもらえないかな?」
こういう人を誠実って言うんだろうな……
目を反らさず真っすぐ見つめてくる瞳が、不安そうに揺れている。
「うん。こちらこそよろしく」
あたしが微笑むと、「よかった」と言いながら、向井君は右手を差し出した。
あたしがその手に自分の右手を重ねると、嬉しそうにブンブン振っている。
「じゃあ、友達って事でよろしく!」
無邪気な笑顔を向けてくれる向井君に、なんだかくすぐったい気分になった。
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