雷鳴の夜
湿った肉が、床を踏みしめる音。

重量のある巨体が、床を踏みしめる音。

この足音の主は一人しかいない。

あの怪物が、またやってきたのだ…!

「ヴィクター…!」

私は脅えたように彼を見上げる。

「ちっ…面倒臭ぇこった」

舌打ちしながら、ヴィクターは私の手を引いた。

「来い!今は逃げるしかねぇ」

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