雷鳴の夜
地下病棟の中は暗闇の世界。

当然、電気なども通っていないようだった。

扉の隙間から入り込む稲光と、持っているペンライトだけが頼り。

…足元を照らすと、階段が見えた。

更に地下へと通じているらしい。

まるで廃墟の中だ。

コンクリート剥き出しの階段は、私の恐怖心を酷く煽った。

…お母さんなら、きっと帰ろうって言うだろうな…。

逆にお父さんなら、もう少しだけ進もうって言うかも。

今の私は、お父さんの方に賛成だった。

怖いけど、好奇心の方が勝る。

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