ぼくの 妹 姫



放課後、校舎裏の焼却炉の中から私の上履きを宙が見つけて来て



「燃える前で良かったね」



教室で教科書をカバンにしまってた私に


宙は笑って上履きを差し出した



「あ~、よく見つけたね」



上履きを受け取ると


汚れてない代わりに
少し濡れてて



「もしかして、洗ってくれた?」



宙は恥ずかしそうに
鼻の頭を掻いて



「ススがついてたから水で少し」



宙はスゴいな


こういう親切が出来るんだ


私なんかにも


アッサリと………



「お礼にさ、家に来ない?」



「蕾の家に?」



「うん。この前、ごちそうにもなったし、大した物は作れないけど夕飯食べて行って」



宙は
少し考えるように間を置いて



「……うん。行く」とうなずいた




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