ぼくの 妹 姫




服を全て脱がせ
ベッドに押し倒す



一度、はっきり目が合ったけど
蕾は スッ…と顔を背けた



顔を逸らされた事が
妙に寂しく感じられ


蕾の手を掴み、指を口に含む


蕾は息を詰まらせ


細い指を唇で挟み
関節や爪を舌で探ると


甘いため息が聴こえ
胸が満たされた





蕾の中に入ろうとした時


蕾は ぼくの肩に手を置き
抵抗するように腕を突っ張った



何も言わず蕾を見つめると



「………きっと」


かすれた小さな声で


「……きっと、
……これは愛じゃない」




きっと、これは愛じゃない。



蕾はそう言った



ぼくは2、3度うなずき



「『愛』じゃなければ
いけないの?

『愛』じゃなくても
ぼく達が求める物は
ぼく達の中にしかない」




鏡のように
同じ孤独や渇きのある存在は
ぼくと蕾だけだ。



「ぼく達はこの世に二人きりだ」




ぼくの肩に置かれた
蕾の手をシーツの上に戻し



ゆっくりと蕾の中に入った




暗闇に出口も果てもない



求める物は互いの中にしかない




罪の意識など感じる
余裕がないほど


蕾との時は
満たされた時間だった





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