ぼくの 妹 姫




ぼくが蕾を嫌うなんて
あり得ないよ



涙で濡れた蕾の目を見た瞬間


すごい勢いで
全身の血が満ち引きした



ぼくの胸を満たす感情は
何だろうか?



頭の奥では
赤いライトが明滅している


それはタブーだと誰かが叫ぶ



だけど それは誰だと言うのだ



この世にぼくと蕾は二人きり



神に背く行為?


そんなの今さら怖くない


ぼくは もう
罪を犯した夜叉なのだ



蕾の頬を伝う涙を指先で拭う



可愛い顔は
幼い時から
何も変わっていない
気がする




ぼくの目を
じっと見つめた蕾の表情が
だんだんと戸惑いに変わる



「……お兄ちゃん………?
どうしたの…………?」



その声を聴いた瞬間
衝動がぼくの胸を貫いた




蕾の頬を両手で包み
口づけると


驚いた蕾が
後ろに逃げようとする


頭と背中に手を回し
きつく抱きしめ
薄く開いた唇に舌を送り込む



「………ん、ん……」


抗うように逃げる蕾の舌を
追いかけ捕まえて絡める



蕾は諦めたのか
ふっ……と全身の力を抜いた





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