ぼくの 妹 姫





蕾の荷物がなくなり
空になった部屋に
一人立つと




蕾が夢か幻かに思えて




そもそも
ぼくに妹はいなくて
ずっとひとりぼっちで……




あの可愛い少女は
寂しいぼくが作った
幻想で……………






蕾を失ってから
数日間は喪失感で
何も考えられなくなってた




だけど、それが過ぎると
まるで禁断症状のように
蕾に会いたくて
気が狂いそうになった




実際、堪えられなくて
休日、車を6時間以上飛ばし
美紗の家まで押しかけた




玄関先で蕾を出せと叫ぶぼくに
伯父はここにはいないし
蕾の居場所は教えないと言った



信じられなくて
伯父の家の中
くまなく探したけど
蕾は見つからなかった





学校を休んで
ぼくの元へ来る前に
蕾が世話になった
内地の中西の叔父の元へ
飛んだけど



そこでも同じく
蕾はいなかった




親戚の家を全部回り
どこを探しても蕾はいなくて
居場所も教えてもらえず



すっかりボロボロになった
ぼくのところに来たのは
美紗だった






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