ぼくの 妹 姫
ふと目を覚ますと
見慣れない天井に
甘い香り
肩のあたりがくすぐったいと
思ったら
見知らぬ女が
ぼくの腕まくらで寝てる
………蕾の夢を見て
目を覚ましたのに
知らない女の部屋
知らない裸の女と
裸で寝てるぼく……
サイアクだな、相変わらず
隣の女を起こさないように
腕を抜き
ピンクに黒いレースの
カバーのベッドを抜け出す
床に散らばる
服を一枚、一枚拾い
身に着けて
ケータイの画面を開いたら
AM3:58
結局は朝帰りかい
「…………ん~?
楓さん…………」
後ろのベッドで
もぞもぞと
女の寝ぼけた声がした
ぼくは女の名前を
覚えていないけど
女はぼくの名前を
知ってるようだ
「楓さん……帰るの?」
ぼくは振り返り
乱れた長い髪の女に
「まあ、妻と子供が待ってるし
帰らなきゃねぇ」
ギシッ………
ベッドに腰をかけ
女の柔らかい髪を撫でて
優しく口づける
「またね」
もちろん
もう二度と会う気はない