ぼくの 妹 姫




10年前
美紗さんが急に
お兄ちゃんと私の家に
来た夜――――――――――









セックスを終え
私を抱きしめて
子供みたいな顔で眠る
お兄ちゃんの頬を撫でてから
ベッドを出た




パジャマを着て
水を飲もうと
部屋を出た時




美紗さんが
リビングのソファーに座ってた



お兄ちゃんが使った
くしゃくしゃによれた
タオルケットが
傍らにあった




私は何も言わず
キッチンに入り
水を出すと




「……どうして………?」



水の音に紛れ
美紗さんの声が聞こえた




「……どうして?
蕾ちゃん
まさか、楓に無理やり」



「違うよ」



私が すぐ返すと



「そうよね
楓はそんなことしない」



グラスを満たした水を
一気に飲み干し
リビングに戻った




暗闇でも
よくわかった
ソファーに座り
呆然とする美紗さんの顔色は
真っ青だった―――――――





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