ぼくの 妹 姫
「また遊びに来てね」と玄関でお母さんに見送られ
私は軽く頭を下げ
「宙。ちゃんと送って行くのよ」
「わかってるよ。行くぞ、蕾」
宙のあとに着いて家を出る
時間はもう9時だった
日本庭園の真ん中辺りで
宙が私の手を握った
「幼稚園児じゃないよ。私」
繋がれた手を見つめながら宙に言うと
「わかってる」
宙は強く手を握って歩調を早めた
門を出ると宙が急に立ち止まり
私はボフンと彼の背中に顔をぶつけた
「ちょ…、急に止まらない…」
「中西センセ………」
宙が驚いたように呟き
―――――――え?
お兄ちゃんが門に寄りかかり
「伊東。妹が世話になったなぁ」
お兄ちゃんの笑顔は月明かりに照らされなぜか、すごく怒ってるように感じた
「いえ」
小さく宙が言って
バッと勢いよく繋いだ手を放した
「おいで。蕾」
宙の後ろにいた私の腕を強く掴み引っ張った
あまりに痛くて私は顔をしかめた