ぼくの 妹 姫




ベッドの中



お兄ちゃんは
私をしっかり抱きしめて



胸に顔を埋めると懐かしい気持ちになった




頭のてっぺんの方でお兄ちゃんの息遣いを感じる




「お兄ちゃん」



「うん?」



「宙の家、殿様が住んでそうだった」



「………そう」



「10人家族だって」



「……ふぅ~ん」



「犬も猫も鯉も蛙もいたよ」



「……………ん」



「お手伝いさんもいた」



「……すごいな」



「宙の……お母さん
すごい楽しい人だった」



「……………」



「家族も皆。仲良さそうだった」



お兄ちゃんは 何も言わずに
私の身体をきつく抱きしめた



「お兄ちゃん
蕾ね、またお兄ちゃんと家族になれて良かった」



そう言ってお兄ちゃんの背中に手を回しギュッと抱き着くと



「蕾は、太陽みたいだね」



絞り出すような声でお兄ちゃんは呟いた



< 89 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop