ぼくの 妹 姫
夕食を終えて食器をキッチンに下げると
「片付けは蕾がやるから
お兄ちゃん休んでてよ」
蕾がキッチンに入ってきた
「なんで?ぼくは平気だよ?」
じっと蕾はぼくを見て
「いいから。蕾がやる
お兄ちゃんはのんびりお風呂でも………」
ピリリリリ
ピリリリリ
居間のテーブルの上
ぼくのケータイが鳴って
蕾をキッチンに残し
ぼくはケータイを取った
「はい」
―――――――――――え?
「わかりました。
今すぐ向かいます」
ケータイを切ると
蕾がスポンジに泡をつけて
「どっか行くの?」と訊いた
「……うん。ちょっと警察に」
「警察?」
蕾は手を濡らしたまま
キッチンから出てきた
「………内緒だぞ?
オレのクラスの生徒が喧嘩で補導された」
「あら、まぁ」
蕾は苦笑いして
「お疲れ、行ってらっしゃい」と言った