ぼくの 妹 姫




夕食を終えて食器をキッチンに下げると


「片付けは蕾がやるから
お兄ちゃん休んでてよ」



蕾がキッチンに入ってきた



「なんで?ぼくは平気だよ?」



じっと蕾はぼくを見て



「いいから。蕾がやる
お兄ちゃんはのんびりお風呂でも………」



ピリリリリ
ピリリリリ



居間のテーブルの上
ぼくのケータイが鳴って



蕾をキッチンに残し
ぼくはケータイを取った



「はい」



―――――――――――え?




「わかりました。
今すぐ向かいます」


ケータイを切ると


蕾がスポンジに泡をつけて


「どっか行くの?」と訊いた



「……うん。ちょっと警察に」



「警察?」


蕾は手を濡らしたまま
キッチンから出てきた



「………内緒だぞ?
オレのクラスの生徒が喧嘩で補導された」



「あら、まぁ」



蕾は苦笑いして

「お疲れ、行ってらっしゃい」と言った



< 93 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop