海に花、空に指先、地に霞

内容はさっぱりだ。
何で喧嘩してるのか、全然わからない。
でもとにかく…。
こんな険悪な雰囲気には、耐えられそうもない…。

ぎゅっと、目を閉じて。
天鳥の腕に、額を押し付けて。
なぜか私が懇願する。

凪世があからさまにムッとした表情で…、これみよがしに、ため息を落とした。

そして一呼吸置いてから、静かに私に目線を投げる。

でも、言葉の矛先は天鳥に。

「……アトリ。沙杏ちゃんに言える?」

「え……?」

「うるさいな!! …おいで!! 沙杏!」

私…?
問い返そうとした瞬間、激昂した天鳥に、逆に腕を掴まれて。


強く、引き寄せられた。

「アトリ!!」


天鳥の体温を感じた瞬間。
そして、凪世の制止の声が響いた瞬間。




……体が空気に溶けた。


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