海に花、空に指先、地に霞
星空亀裂



……なんだか、不思議な感覚だった。

グニャリと視界が陽炎のように歪んだと思った途端、体が…透明になったような、バラバラに分解されたような…。

………ゆったりと目を開くと、視界はまだ歪んで、回っている。

でも……
天井…に、星空…?

…キレイだ…。
紺碧の空に、星明りが燦然と。

ふんわりと、夜風が通り抜けていく。

それで、それは天井ではなく、本物の空だとわかった。

…ここが外だということも。

ふっと目の前がさらに暗くなる。
誰かに顔を覗きこまれているとわかったのは、快活な少年の声が降ってきたからだ。

「あ、気がついた?」

「………あ、とり…」

それから…コンクリートの上に、直に横たわっているのも、わかった。

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