【完結】泣き虫姫のご主人様

★マシュマロ心 “雛子”










 雛っ。








 雛っ。













 記憶の中のあなたは、いつも雛子の隣にいた。




 いつも暗い顔をしていたような気もする。














『久しぶりね、ちー!』




 まだ小さかったあの頃。


 それでも雛子は、稚尋に会えることが何よりも嬉しかった。





 外国の学校では、唯一だった日本人として、酷い扱いを受けた。



 それでも一生懸命慣れようとしたけれど、雛子には出来なかった。











 そんな、ある日だった。








『雛? 突然で悪いんだけど……日本に帰らなくちゃいけなくなったの』




 母親に告げられた、突然の言葉。





 雛子は生粋の日本人。


 故郷に、帰りたくない訳がなかった。





















 だって日本には、稚尋がいる。











 嬉しくてたまらなかった。










★マシュマロ心“雛子”



【START】






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