学園王子3人組×学園お姫様3人組
美瑠『・・・』
「・・・」
静まりかえったこの部屋に聞こえるのは時計の秒針が動く音。
――チク.タク.チク.タク
こうして私が悩んでいる間も時間は刻々と過ぎてゆく。
この時間、1分1秒もの時間も翔は私を体を張って助けようとしてくれている。
翔は私のために、私を助けるために、私が目を覚ました瞬間、映画のヒロインのように現れ、敵を恐れることなく立ち向かってくれた。
そんな翔を見殺しのようにするなんて私には到底無理。
これ以上、私のせいで翔が怪我したり、痛い思いをするのは嫌だ。
だから私は決めた。
美瑠『のむ……交換条件、のみます。』
間違ってないはず、きっと。
「よし、ぢゃあ、今から噂流すよ、風の噂。」
カタカタとものすごいスピードでパソコンのキーボードを打ち込む音が聞こえる。
でも本当に誰か助けに来るのだろうか。
もう助けに来ることを祈るしかない…。
「オッケー!完了。誰が1番早く来るかな~?楽しみだね」
楽しみなわけないぢゃん。
確かに私と翔を助けに来てほしい。
でも助けに来た人も喧嘩で大きな怪我をする可能性だってある。
もし、そうなったら私はどうしたら・・・。
「俺達今日から1週間期間限定だけどカップルだからね?忘れないでよ?それと、今週の土曜日、開けといて?デートしよ。」
今日は火曜日、確か。
美瑠『・・・デート、、、しなきゃ、いけないの?』
「当たり前だよ。カレカノだよ?デートしないなら、わざわざ付き合うなんてしないし。」
大丈夫だよ。多分。
平日の学校帰りとかならバレちゃうかもしれないけど。
土曜日だから。
友達と遊ぶ約束があるって言えば。
自分に言い聞かせるように心で呟いても、やっぱり心は罪悪感で浸っていて。
このモヤモヤする気持ちの色は、まるで果てしなく終わりのない空の雨雲のようなブラック。
―そのブラックはまるで本当にこれから先、ずっとずっと暗闇から逃げ出せないかのような気持ちになった。