空の果て星の息吹

世界に取り残された僕ら

国際宇宙ステーションであるエデンは地上から36000k離れた周回軌道上に浮かぶ火星再開発計画の為の巨大な有人施設である。
体積が2500立法メートル重量900tの巨大な宇宙施設であり、約90分で地球を一周する。


エデンは遠心力を利用した重力制御施設を有し、こまの様に回転軸を中心に配置して、天使の輪の様な配置をした居住区等の重力制御施設が、中心軸の周りを回る初めてのステーションでスペースデブリ(宇宙屑)対策として本格的なレーザー兵器も積んでいる。


シャトルは周回軌道上でエデンとランデブーをしタイミングを計り、やがてドッキングに成功した。


中心の回転軸部にシャトルは固定される。


シャトルの扉が開くと、エデン側へ繋がるドッキング用の通路が見えた。


シートベルトを外し、扉へ向おうとするが、進む方向に流れていき、研修生同士がぶつかる。


クルーはそんな僕らを見ながら笑い合う。


『無重力だからな、進みたい方向に行くのは床を蹴り上げたりしたら進むが、進む方向と逆の力をかけて止まらなければ、そのまま進のを忘れるなよ、地上で勉強済みだろ?』


若手のオペレーターである山本有一(やまもとゆういち)が冗談混じりに話す。

スケートの初心者の様に方向が定まらなかったが、手摺りに捉まりながら進みどうにか慣れてきたが、足が浮くと、何と不安定だろうか、これ程難しいとは思わなかった。


体の方向感覚が慣れるまでは大変だったが、どうにかなっていた。


シャトルとエデンのドッキングベイから通路を伝って行くと、沢山の階級章が付いているグレーのジャケットを着た、初老ではあるが背がピンと伸びていて堂々とした威厳のある人物が出迎えてくれた。


この人は、火星再開発計画の総責任者であり、エデンの総責任者でもあるジョン・マクガイア長官だった。

またその隣には、僕達とそんなに年が離れていない通訳が居た。


身なりがきちんとしている短髪の細身の青年は優しい笑みを浮かべて立っていた

長官が英語で話すが、単語を頭の中で浮かべながら意味を追うのが精一杯であった、それを、青年が後で僕達に伝えた。




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