空の果て星の息吹
朱鷺は日本の天然記念物である鳥で、今は繁殖に成功して数はかなり増えたが以前は、この佐渡に保護センターがあり一羽しか居なかったのだ。


日本の国の鳥名の朱鷺が宇宙に向かって飛ぶ・・・爽快だろ?
シンは佐渡で育ったから、よく興奮しながら、そう話してくれた。


この施設は往復便で同じシャトルをメンテナンスをして使う。
朱鷺はもう何十回と打ち上がっていた。


優秀な人材が集う国際宇宙ステーションのエデンは地球再生に向けての、まるで方舟に見える。


このままだと、確実に世界は崩壊を始める、それを救う、パンドラの箱の希望に当たるのが、この火星再開発プロジェクトだから、絶対に成功させなければいけない。


『八神さん、朱鷺が今月末に宇宙(そら)に上がるね・・いつか僕らも上がれたら良いね』


『うん・・・そうだね、それにはお互いに試験に受からなければね』


涼子は話ながら余計に寒いのか腰に回す手をギュツと強く締め付け、身体を密着してきた。


涼子の暖かさが伝わってくる。


途中でコンビニに寄り缶コーヒーをカイロ代わりに暫く話をした。


涼子の学部も自分と同じく倍率が高い。
今回は17倍らしく、かなり不安を抱えていた。
材質工学も似たような倍率なのでお互いに励ましあった。


涼子なら受かると思えた。それは、成績も申し分ないから、あとは自信だけだと思ったから、元気づける言葉を話した。


『もし互いに受かったら将来エデン勤務になれたら良いね・・エデンは共通語が英語だから涼子に助けてもらわなきゃ・・』


『遠野くん、トークライブ(携帯型自動音声翻訳機)を使う様な、研究者にはならないでね、笑われちゃうよ?』


二人は互いに将来を想像しながら笑いあった。



< 21 / 216 >

この作品をシェア

pagetop