ユピテルの神話
†摘ンダ命ノ重ミ


†摘んだ命の重み


森の主の元で情報を集める日々が続いていました。

風の噂話は、僕らの元に沢山の情報を運んでくれました。
しかし、残念な事に悪い知らせばかりだったのです。


ザワ…
『…ユラ、今日も新しく多くの者が床に伏せたそうじゃ…。回復した者の情報はない。皆、眠り続けているそうじゃ…』

「…そうですか…」


床に伏せる人数は、増えていく一方です。
幸いにも、未だ命を落とすまでには至っていませんでした。

風たちの話によると、この病気に苦しんでいる人々は森の中心に住んでいる者だけでした。
森の外へ出ていった人々までは広がっていなかったのです。



「…これだけ情報を集めても、解決策がない…。僕に何か出来ないのでしょうか…」

彼らの、長く続く高熱。

人から人へ移るわけでもなく、
何か毒性の在る物を食べたわけでもない。
彼らは普段通りの生活をしていただけなのです。

意識もなく、眠り続ける。
原因が分かりませんでした。


「…やはり僕が村に…」

ザワザワ…
『気持ちは分かるが、今は駄目じゃ…ユラ…。』

「どうしてですか!」

『……それは…』

森の主は言葉に詰まりました。
僕に焦りばかりが募ります。

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