俺様VAMP!

朝ごはんは食べなきゃだめよ?と心配そうに私を覗き込む、メイさんの背の向こう。

廊下の片隅で左の一番奥の扉が開いた。

今度こそ、心臓が異様なまでに跳ねあがる。

大丈夫です、と。
盛大な笑顔を作って。
慌てて私は部屋に向かって踵を返す。
かばんを引っつかむ。

廊下に飛び出した時、廊下の奥から、低めの声がぶつけられた。

「……詩乃!」

薄っぺらい笑顔なんて瞬時に壊れる。

焦って飛び出していく私に、目を丸くしているメイさんに軽く会釈をして、必死に走り出す。


…逃げる。


もう一度、背中に名前を投げ掛けられたけれど、聞こえない振りをした。





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