メール女【被害妄想彼氏 番外編】
メール女

ピピピピピ……ピピピピピピ…………



うるせぇなぁ……




目覚ましほど鬱陶しいものはこの世の中には無いとも思えてしまう。



俺は、この音が世界一嫌いかも知れへん…。



ガァァァアァン!!




………ピ…と最後に音を立てて、目覚ましは原型を留めず破壊された。



再び俺は眠りについた。



……はずやってんけど。






「あぁ!!
慎ちゃん!?何すんの?」



眠い目をうっすらと開けて声のする方へ顔を向けると、



同居人の平山裕貴が壊れた目覚まし時計を手にしていた。



俺の隣(右側)で寝ていたらしい。



「これは俺のでしょ!
慎ちゃんのはあっち!!」



隣に目をやると、もうひとつ破壊された目覚まし時計があった。




「違う!それ明宏くんのじゃん。
慎ちゃんの目覚ましは頭の上にあるやつでしょ」



明宏とは、もう一人の同居人の高田明宏。
俺の左側に寝てる奴。



体を起こして前を見ると、壊れた形跡の無い目覚まし時計がちょこんと置かれていた。



「慎ちゃん、人の壊しといて自分のだけ無事ってひどくない?」



裕貴は不機嫌そうに言った。

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