〜花魁〜
たいして欲しい物もないのに、わざわざ寄ったコンビニで買う物と言えば…酒くらいしかなくて
2人だって言うのに、カゴの中は色んな種類の酒達で埋まっている。
レジで会計を済ませると、2つに分けられた袋を両手に持ち、店を後にした
「ひとつ持とうか?」
『重たいからいいで〜。』
「……そっか。」
髪をクルクルとイジりながら歩く花を横目に
俺の中に宿る、何とも言えない気分を感じていた。
――そわそわ?
――ドキドキ?
違う。そんな可愛いもんじゃない……
また…何か、嫌な事が起こりそうな予感。
気のせいなら、それでいいんやけど―…。
『両手塞がってるから、鍵開けてくれん?』
大袈裟に両手を上げてみせると、顔色が“パァッ”と明るくなり
カバンの中から鍵を探し出してオートロックの解除をする――。
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