〜花魁〜
――帰り道。
人の多さも、頬を刺す寒さも、ネオンの光りも
いつもと何も変わらないハズなのに、
いつもと違って思えるのは…
さっき蓮さんの口から出た懐かしい名前のせいか
それとも、花の髪が長くなったせいか…。
『腹、減らん?』
基本的に沈黙が嫌いな俺は、喧騒の中にいても
自分と一緒にいる相手のどちらかが口を開いてなければ静寂と同じ事…。
だから[何か話さなきゃ!]と思って出て来た言葉ほど
どうでもいい内容はない。苦笑
「うーん…大丈夫!」
『てか、ほんまにちゃんと食ってる?』
「食べてるよ!お店行く前にご飯食べて行ったからさ!!」
『ふ〜ん。』
「てかさぁ〜、さっきから難しい顔してるけど、悩み事?」
ひょこっと俺の顔を覗く花は、きっと何の悪気もないんだろうけど、
人工的とは言え…長くなった髪の毛が不愉快で仕方ない。
『コンビニ寄ろっ、』
[うん]とも[うぅん]とも言えない俺は
そこら辺で、宙ぶらりんになっている適当な言葉を選んで、適当に言葉を繋げた。
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