She and I・・・
「君も就職活動だね」
教授が話しかけてくる。

「はい」

「もちろんうちへ来るのだろう?」
先輩が言う”うち”とは宇宙探査局のことだ。

「はい。こちらでテストオペレーターをさせていただき、開発にも興味を感じたのですが、やはり宇宙へ行きたいです」

「わかった。がんばりたまえ。僕も内部で道筋はつけておこう。とはいえ、僕も入局間もないからたいした力にはなれないが」
先輩は謙遜しているが、実績を着実にあげて局内で評価されているのは見聞きしていた。

「ありがとうございます」
頭をさげる。

「私も推薦の準備をしておこう」と教授が言うと、
話を聞いていた彼女が

「奈良さんの評価はずいぶん高いのね」
と言った。

「もちろんだ。彼なら安心して推薦できる」

「それだけ信頼なさっているのだから、奈良さんの乗るオートバイなら、乗せてもらって出掛けてもいいわよね?」彼女がとんでもない方向に話を振った。

教授は、それまでの教授の顔から父親の顔に戻って、ドギマギしているように見えた。

「いや、それとこれとは・・・」

「父さん、大丈夫ですよ。奈良くんの運転なら。それこそ僕が推薦しましょう」
先輩が”助け舟”をだす。

「そういうことではなく・・・」

僕も意を決して、
「教授、実は受験の前に志望校に合格したらという約束をしていました。安全運転に徹します」
と言った。

「あら、いいわね。私もあと少しだけ若かったら・・・。あなた、別にかまわないわよねえ」
とそれまで話を聞くだけだった、彼女の母親が言う。

教授は仕方なさそうに
「奈良くん。よろしく頼む」

と言った。

「なにもお嫁にやれって言ってるわけではないのよ」
母親は冗談めかしてそう言ったが、教授は真面目な顔で僕の顔を見ていた。

「はい」
と僕も真面目な顔で答えると、


「お父さん、ありがとう。遠くへは行かないから」

と彼女が教授に言った。
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