すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~



いとも容易く、あたしを抱き上げてしまうなんて・・・



「っ・・・」


ドキドキと相対する恐怖が、荒波のように押し寄せていた。




トサッ――

ベッドへと下ろされた瞬間、慌てて起き上がろうとしたけれど。




トンッ――

両肩を抑えられて、また身体をベッドへと沈められてしまう。






「俺を惑わせる、蘭が悪い・・・」


そう言って、あたしを跨いで上へと覆い被さって来て。



「ッ――!」


思いもよらぬ言動に、鼓動だけが急速に稼働していく。



熱を帯びたブラウンの瞳で見つめられて、もう身体は動かなかった。





拓海、どうして・・・?





< 27 / 79 >

この作品をシェア

pagetop