すべての、始まり。~貴方しかイラナイ~
いとも容易く、あたしを抱き上げてしまうなんて・・・
「っ・・・」
ドキドキと相対する恐怖が、荒波のように押し寄せていた。
トサッ――
ベッドへと下ろされた瞬間、慌てて起き上がろうとしたけれど。
トンッ――
両肩を抑えられて、また身体をベッドへと沈められてしまう。
「俺を惑わせる、蘭が悪い・・・」
そう言って、あたしを跨いで上へと覆い被さって来て。
「ッ――!」
思いもよらぬ言動に、鼓動だけが急速に稼働していく。
熱を帯びたブラウンの瞳で見つめられて、もう身体は動かなかった。
拓海、どうして・・・?